築地。市場かごが似合う街。
毎年この時期に築地本願寺を訪ねるご縁があり、ご近所の築地場外市場をひやかすことなどもあるのですが、今年は少しだけ場内へお邪魔しました。
巨大銀杏を擁する波除神社をお参りしてから入ると 、お昼過ぎ、連休中の少しのんびりした空気の中、海を感じる広い敷地をカモメが飛び、ターレがビュンビュン走っています。
私のような者が行く時間にはもちろん取引も終わっていて、お店も閉まりがち。それでもチラホラかご類を扱っているお店が目につきます。
早起きして行けたらぜひこちらのお店で市場かごを。
ホームページで見ることができる「買い出しの定番」、4種類の市場かごは5000円(税抜き)からあります。
服部金物店ホームページより
松野屋さんでもずっとお取り扱いがある市場かご。ホームページのこの築地の写真、格好いいですよね。ゴム長靴で踏みしめる地面は石畳です。
築地市場というのは昭和のはじめごろに建てられた鉄骨造のモダン建築なのですね。凝ったデザインというわけではないけれど機能そのものが美しい。
そこで毎朝暗いうちに始まる目利き腕利きのプロたちの真剣勝負は、素人の立ち入れない緊張感に満ちた異空間を作り出しています。
市場かごを下げて帰っていく先は、まだ夜の余韻の残る銀座かもっと遠くの街か。それぞれの街の朝を彼らが開いていくのですね。
場内を見守る水神様。
移転ありきで時を経てきた関係で、必要な整備がされていないかわりにつまらない整備もされてこなかったように見える築地。
そのせいなのかどうかはわからないけど、日本中でどんどん失われつつある何かが残っている気がします。何かとはなんだろう。
はっきりわからないけど、自分がそこに拠って立っていると心の底で感じていたいようなもの。
この首都東京のど真ん中に豊かな海があり、江戸時代の人々が人の手で埋め立てて水神様が鎮める土地があるのです。いい男がいて、いい女がいる。
流通の拠点とか食のワンダーランドとか外国人向けの観光スポットである前に、ここは日本を拠って立たせているものが棲む土地なのではないかと私には思えます。
古来、日本では神様にささげるのは肉ではなく魚、酒を飲むときのお供は肴でした。
Witnessing the Last Days of Blue Fin Tuna at the Tokyo Fish Market
Pay a Visit to Tokyo's Tsujiki Fish Market
魚河岸の未来は、市場かごの後姿が似合わないところに変わっていってしまうのでしょうか。
良い開発、良い整備、良い新施設というものができるならば、素晴らしいと思いますが。
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