「箱 1」出品まで

moribasket
製作・商い 2016
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半月ほど前、なんとか初めての四角い入れ物を商品化しました。

前回までのあらすじは↓ここまでで終わっていたので結構な方向転換です。

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またしても何を入れようというあてが無いまま四角い入れ物を作ろうとしていた私は、さてどんな個性を持たせようかというところでまず、すでに商品化できていて自分でも気に入っている「丸い器 1」に似せようとしたのでした。

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丸い器0、丸い器1

素編み・縄編み・矢羽編みでできたボーダーとはしごレースみたいになった透かし部分からなりたっている繊細な構成を目指したわけです。

しかしこの構成を直角だけでできた四角に入れ込んでもどうにも生きてこなかったので、丸い器のように斜めの面を作ってみたのですね。

でも丸い器ほどいいデザインにできないし技術的にもうまくできていない。無理やり蓋をつけてみてバリエーションも作ってみたけれど全然自分で好きになれない。

ここまで凝ったことをする実力がまだないのだなと嫌気がさして一旦投げ出すことにしました。

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やっぱり初心に帰り、手提げでやったように、まずはシンプルな形をシンプルな編地で作ってみようとして思い出したのはだいぶ前に作ったこちら。

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何かを見て編んだ名前のわからないこの編み方、華があっていいと思うのですが、籐で入れ物を作るには編み目の穴が大きくなってしまって今一つ。

そこで似た感じの透かし編みはできないかといろいろ手を動かしてみた。 

自己流で作ってみたのは、ヨーロッパのかごっぽいものとか、六つ目っぽいものとか八つ目っぽいものなど。 でもパッとしない。決め手に欠ける。特に六つ目八つ目はやっぱり皮籐や竹とか、平らな素材に向いてるものか。

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あけびのかごでよく使われる小出し編みは 細い籐で作ってしまうとちょっと頼りなくて華がない。 あけびのように力強い造作にならない。つまらない。

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この時はまだ斜めの立ち上がりという考えから抜けられていなくて形も中途半端だったので中途半端をやめて角度をやめて透かし編みも2段ほどの小さいものにしてみると、

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底編みも立ち上がりも映える。

丸い器でも手提げでもやっているように透かし編みを2段だけのポイント使いにするとキリっとひきしまる。 

結構かわいいシンプルなトレイ。でもあえて籐で作ったものを買っていただくためには今一つ何かが足りないと思う。

  

ならば2段ではないけどシンプルなトレイをひっくり返して重ねたような蓋をつけてみたらと試行錯誤して・・

 

一気に作ってみたのがこの2種類。まさに四角い手提げを作るときと同じようにして小さい箱を作ってみた。

蓋も本体と同じ編み方。本体の側面だけでは今一つ伝わらなかった編み方の特徴が比較的広い蓋の面で見せられる。

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(この時は細部の詰めがまだまだで、蓋は乗ってるだけ。)

 

よろけ編みは2セットは入れないと模様にならないのでこれがギリギリの高さ。

模様の1セットを小さいサイズにしてみたら意外と映えなかったので手提げとほぼ同じ模様の大きさ。

だからわずか数段しか入らないのがまたいい感じ。

蓋の無い箱の時は今一つ魅力が出なかったこだし編みも同じ編み方の蓋をつけるとあまり見たことのないようないい感じになった。

 

いいんじゃないかと。私らしいんじゃないかと。伝統と経験に裏打ちされた優しい丸みのある形は編めないけど「型」に頼った素っ気なくて頑なな感じが出てるんじゃないかと。

というわけで一気にこの方向で進めることにします。

  

ここからは細かい工夫。

小さい形の中で直角を作るのは難しく、籐だから多少、角丸な曖昧さはあってもいいのだけれどできるだけ四角に近づける工夫をしてみます。 

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初期モデル(写真左)では手提げと同じ仕様で「編み芯を一本巻き込んで4本向こうへ内返し」してしっかりした丸みのある縁取りがぐるっとまわるようにしてあるのを、

商品化モデル(写真右)では「編み芯を巻き込まずに2本向こうへ内返し」に変えて小さな角を作ってコンパクトに折れ曲がるようにしてみています。

 

蓋と底も同様に、初期バージョン(左)の縁の丸みを商品化バージョン(右)では無くする方向。

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縁をあっさりさせたのでその下の縄編みを3段にして蓋と本体でお揃いに。

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蓋もコンパクトな角の作り方で内側に曲がって2段、外側に曲がって2段、終了、でこの形。

頭の中で必死で思い浮かべて一番簡単な蓋の作り方はこうじゃないかと考えて作った蓋。

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原始的です。

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出来上がりました。

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四角もなかなかよいのではないかと、

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思うのですが。

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