京町家の宿に泊まりました。
秋の新作づくりが少し落ち着いたころ、今年も京都に行ってきました。
ふだんから普通の町の景色を見るのが好きですが、旅行で訪れても観光スポット以外の普通の住宅地に興味がいきます。京都はまさに町歩きの楽しみをかきたてられるところです。
あてもなく歩いている時、普通の家のような建物の扉がふと開いていて、薄暗い通り抜けの土間が明るい方へ続いているのが見えていたりします。
その涼し気で、昔の普通の暮らしの雰囲気を残す景色。いわゆる京町家というものにとても心惹かれます。
今は次々取り壊されている、黒っぽい木の細かい格子で覆われた無彩色の家々が、数十年前までは京都の町を埋め尽くすように並んでいたことを思い浮かべれば、それはさぞ壮観、絶景であったろうと思います。
当時は当たり前であったそんな風景ですが、もうどうしたって見ることはできません。
いまあるものだけでも残ってほしいと強く思います。現実的にはいろいろと難しいということもあるのだと思いますが残していこうという気運もたしかにあり、町家を改装したレストランやカフェ、宿泊施設なども多く見かけるようになりました。
今回の旅行で私たちが宿泊したのも一棟貸しの京町家でした。「町家レジデンスイン」というところがやっている「滋野たちばな庵」です。
エントランス。お隣も棟続きの長屋でした。
Machiya Residence Inn: Holiday Rental Houses in KYOTO
2階の寝室。
Machiya Residence Inn: Holiday Rental Houses in KYOTO
ホームページに、ちゃんと間取りが載っています。
Machiya Residence Inn: Holiday Rental Houses in KYOTO
間取り、平面図をチェックして選べるのがとても面白い。いわゆる「ウナギの寝床」と言われるような細長い間取りのところに泊まりたかったので理想的でした。
台所は昔は土間で坪庭まで通り抜けられるようになっていたと思われますが(こんな感じで↓。あこがれの走り庭。)、
現実的な対応として低めの板張りになっています。
台所の天井は「火袋」という吹き抜けになっているのできっと冬は寒かったことでしょう。お宿になった今は床暖完備です。
Machiya Residence Inn: Holiday Rental Houses in KYOTO
土間だったところと御座敷との段差をいかして、座れるようにしつらえてありました。
建築当初はなかったと思われるお風呂、離れになっていたと思われるトイレ、どちらも現代的な設備にしてあります。(トイレは2階にも。)
すごくいい感じに現代風にしてあって、町家らしさを体験しながらも快適なホテルライフに近い感じで過ごるわけです。
京都駅近くでチェックインを済ませ、荷物も宿まで送ってもらえるし、お昼に出かけているあいだに掃除とリネン交換をしてくれます。
せっかくなのでなるべくおうちを楽しもうと、お昼は仕出し料理を配達してもらったり(さすが京都、仕出し料理屋さんもいいところがたくさんあるようでした。)
夜は八百一本館でお惣菜とお酒を買って帰ったりと、楽しみも広がりました。
「町家レジデンスイン」は30軒ほどの町家を宿泊施設として持っていて、旅館業許可を取得しています。
ほかにもいくつか町家を集中的にもっているところがありましたので、下にリンクを貼ります。
もともとのおうちも一つとして同じものがないわけですし、リノベーションの度合いや目指すところもいろいろのようです。
すごくスタイリッシュでかなり高額、というところもあれば、ほとんど昔のおうちのままのようなところ、インテリアのクセが強すぎてクールジャパンすぎるところなどなどいろいろです。
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