冬は濃い色塗装で。
最初の最初は無塗装、その後、今までは「やや濃い色」と「薄色」の2色展開でやってきた私の籐の手提げです。
なぜ「濃い色」 がないのか。作りたいのは山々でしたがなかなか簡単ではなくて。
でもやっと出せた濃い色塗装の「栗の手提げ」。
今まで何度か塗装について書いていますが、これが籐の塗装の定番!みたいなものは世の中に無さそうなので自分なりにいろいろとやってみています。
籐の、というのでなく「木」の塗装について調べてつつ、籐に相応しい塗料を探しています。
籐の着色では、染色しているパターンと、ペンキかニスで塗装しているパターンは見たことがありました。
そういうものではないもので「木」の塗料の中で使えそうなものとして「水性ウッドオイル」という浸透性で塗膜を作らないタイプのものを選び、混ぜたり薄めたりしながら使ってきています。(この経緯も過去記事に書いてますのでよかったらページ下のリンクからどうぞ。)
今回は濃い色にしたいわけですが、単純に同じ種類の塗料の中の濃い色を選べばいいというものでもなくて・・
いくつか試しておりますのでご興味のある方はご覧ください。(いるかな。)
①ウッドオイル+ペンキ
濃い色ほど塗り残しが目立つため、籐の編み目の中まで塗料がキチンと入るようにするためにある程度薄めなくてはならず、黒っぽい色の塗料を薄めると薄墨の墨汁のようになってしまったことも。
ここでひとつ、浸透性でないタイプの塗料の代表、ペンキというのがまた頭に浮かびました。何度試してもうまくいった試しはないのですが。
粘度が高いペンキは少し薄めてもなかなか編み目の中まで入らず、薄めて塗るとペンキであっても多孔質の籐の素材にはすぐに吸い込まれてしまって、ニュアンスのない重苦しい仕上がりになります。ペンキらしいツヤも出ません。
市販のかごできれいなペンキベタ塗りのもの(なるちゃんバスケットみたいな)は塗料に品物を浸すような形で塗られているのか、もしくは下地塗りとかが何工程もあるのだろうかとも思います。
それもできないので今回、ふと思いついて普段通りの色でウッドオイル塗装をしてから黒いペンキを重ねてみました。
これが、意外とちゃんと塗れたのですね。ペンキ単体だと出なかったツヤもある。しかし塗れたというだけで、なぜか全然魅力がありません。ただただ、下手に見える。
今のところナシと即断です。いずれもしかしたら場合によっては使える方法かもしれないけれども。
②ガードラック アクア
・・やっぱり浸透性のある半透明な塗料でないとダメなのではないかということで次は前から気になっていた水性の木材保護塗料「ガードラック アクア」を試してみました。
ウッドオイルと同じ「和信」ですし色数も多く、濃い色もあります。半造膜タイプということで浸透タイプと造膜タイプの中間的な仕上がりでした。
以前使ってみた「ザ・ローズガーデンカラーズ」(これも木材保護塗料でした。)と似ています。いい色で、写真ではわりといい感じにも見えますが、
実物はやっぱり塗り残しが目につくし、これだけ濃く塗ってみても浸透する分が少ないせいもあるのか、塗料の半透明さのせいで明るいところで見た時など特に籐の素材の白さが透けて感じられます。
そしてそのわりに乾いたときの固さはガチっとした感じでオイル塗装のようなしなやかさは失われることがわかりました。
③ウッドオイルの黒っぽい色
というわけで、いつものウッドオイルに戻ります。最も黒っぽい色「エボニー」を一色であまり薄めずに塗ってみたのがこちら。
色は悪くないけれど、ここでもやはり籐の白さを感じさせない濃さにして塗ると表面がボテボテになってしまってうまくいきません。
④結論
編みあがった籐の白っぽい手提げをキャンバスと考えると、水性塗料を浸透させて塗るということは水彩画のようなものだなと感じます。
白っぽい色ほど水を多めにする方が自然。白っぽい色を濃く塗ると小学生のころ描いた絵の具ベタ塗りの絵みたいになります。
黒っぽい色は水を少なめにしないと素材の白さが透けて変。でも濃くするにも限度があります。
というわけでそのあいだでちょうどいい落としどころを探っていきながら色の調合と濃度の調節で今までより濃い色にするという、想像通り、今まで通りの結論になりました。
絵の具そのままの「茶色」にならぬよう、ボテボテにならぬよう、素材の白さが見えぬよう、
でも冬らしい落ち着いた色になるよう、色ムラが自然に出て木の素材感が生きるよう、苦心した結果がこちら。
単体で見るとやや濃い色も濃い色もそう変わりません。
新バッグ3種類、少しずつご注文いただいております。
私も、今期の普段使いはこの「四角い手提げ2 よろけ編み」に決定。
どうぞよろしく。
マニアックですがわかる人にはきっとわかる。塗装についての去年の秋の記事。
①から⑧まであります。
無塗装の籐ってかなり白いものです。 はじめて自分で編んだとき意外なほどだと思いました。 見慣れない白さ。 「無塗装」というより「未塗装」という気もしてしまうんですよね・・・ これまであまり意識せずにみてきた籐のものは、自然な塗装をしてあったり、経年変化の色がついていたり、もしくは今はやりの紅籐など蔓のままのものだったりしていたのだと思います。 見慣れの問題だけなら、見慣れたらいいと...
今年の春。
「丸い器 1」では使っていたのですけど、手提げには初めて採用した「薄色塗装」です。 もともとの籐の材料は思いのほか白いもので、編んでいる最中の水に濡れている状態はもうちょっと濃い、木材らしい表情をしていますが、乾くとなんとも落ち着かない白さに戻ります。 また何年か過ぎると自然に色がついてきますがそれには時間がかかります。 なので、不自然な塗装はしたくないけれどごくごく薄い色をつける...
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