2016秋・製作中⑤山の手提げ(大)の近況

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製作・商い 2016
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製作中シリーズが続きます。今までの記事、①〜④、手をつけるばかりで何一つ完成しないままでございます。

 

作ってみてこれではだめだなと思うとほどいて編み直しますが、それを何度か重ねてある程度形になるとまだまだだと思ってもちょっと放ってみたりします。部屋の隅に置いて気分転換中にちょっと眺めたり常に意識はしているわけです。

今私がかかえている課題はそれぞれバラバラに見えて共通点もあるので、他のものに関わっている間にわかってくることもあり、寄り道から帰ってくると行き詰っていた作業が再開したりもします。 

新しいことを思いついて取り掛かるときは、それこそワクワクしてスキップするよな思いですが、始めてみるとその進み方は向かい風の中で自転車をこぐ様な具合です。

慣れてくればどんどん好きなように編めるようになるだろうというのは夢のまた夢で逆にどんどんさらっといかなくなっているような気もします。

いくつもの課題がひとつも完成しないとさすがに気が重くもなりますが、とは言え好きでやっていることですし少しずつ考えをまとめていって形になっていくのは何よりうれしいことなので、降りかかる雑用、いただくご注文、根を詰めすぎることによる体調不良などをさばき、すり抜けながらいくつかの課題を抱えて走ります。

 

そんな中、さらに一つの商品のマイナーチェンジを図っています。マイナーチェンジというと簡単にできそうですがそんなことないですね。何をどう変えるのか、イメージだけがあって方法は探り探り。

でも気になっていたことなのでここでちゃんと取り組みたい。それが意外と他のものにも影響を与えそうな気もしています。

 

その課題は、ご好評いただいている「山の手提げ(大) 太縞」。等間隔の太い縞で構成された直線的な山の形を特徴としております。、丸みがついて見えますが4本の縞模様で構成された前面の脇のライン、上の2段は角度がついていて下の2段はまっすぐ上がっています。

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結構いい感じの持ちカットも撮れておりますが。

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何が気になっているのかというと「四角さ」ですかね。これです。

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私のかごは全て、底編みから立ち上がるときに芯を一本巻き込んで「4本向こうに内返し」というのをやっているんですね。底の編み芯が胴の編み芯に変わるところでクルッと一回転しています。これをやるとキチンと角が出て厚みと重さも出て好きなのですが鋭角的になりすぎるところもあります。 

もうちょっと太めの3mm以上の籐だとか、あけびのような素材の場合だとこの内返しをせずにそのまま立ち上げることも多いようで、そうすると柔らかいラインで立ち上がるのですが、私の使っている2mmの籐だとその作り方では薄く頼りなくなってしまうので、何度かやってみたこともありますがやっぱり内返しに戻ります。

 

「細面の手提げ」のように上に向かって開いている形はこのように角が気になったりしない形なのですね。「山の手提げ」も小さい方は四角さもそれほど気にならないですが、この大きい方はすごく「箱」を持ってる感が強く出る気がして弾力があるとはいえカッチリと固い素材で形ができてしまっているので、むきだしの生の直角がどうにも目に入ってしまって、なんとか角を柔らかくしたいという思いにかられました。

 

まずは一番下の段だけ内側に絞ってみましたが。全部編んでみたら、なにこれ、です。

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これは違う。↓これになっちゃってますね。山の手提げらしい直線が失われている。

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なので絞る範囲を狭めて一番下の縞の下三分の一ほどを絞ってみる。これでもやっぱり直線的な感じは失われてしまう、縞の幅の間では曲がりを作らない方が絶対いいとわかったので・・ 

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一番下の縄編みを2段から4段に増やしてその間だけで角度をおさめてみた。でもあまりうまく行ってないですね。縞と縞の境目は矢羽になっているからここだけ異質。

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そうか同じように矢羽にしたらいいのかと気が付いてやってみたのがこちら。いい感じではありますね。悪くはないな、と思えたのでこれはこれで一応完成させました。

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前面がまっ平らになりすぎてしまって箱らしさが増してしまうので、少しだけ中高(なかだか)になるように型に細工もしています。

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どうですかね・・・(左から、中、大、新。)

 

前のバージョンと比べて山の手提げの潔い強さは失われてないだろうか、ちょっとまた放り出して様子見てみます。潔さと柔らかさは共存できるのか、そのギリギリのところを攻めたい気もします。

もしかしてほかの解決方法があるのでは、という思いも芽生えてきました。例えば底を楕円にするとかね・・あれ、それはもしかしてこれまでの自分の努力を無にするような・・いやいやそれは無ではないと、信じて。 

 

というわけでまたしても未完成のまま、こじらしたまま、保留です。

 

うっすらとぼんやりと、次の光は見えている。(多分。)

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