謎のMADE IN JAPAN。②竹の「シェルバッグ」。
前回の”竹と網のバッグ”を見つけた時、ほぼ同時に目にし、その後も探す作業の中で何かと見えかくれするバッグがありました。
これです。
Etsyにありました。(販売済み。いつものように。)
Unusual 1950s Folding Bamboo Purse Vintage Japan by FeraliaVintage
50年代の日本で作られたとの記載です。
曲げた竹材が扇のように開いて形を作る様子が網のバッグに似ていると思いました。
世界中のヴィンテージものを取り扱うアメリカのオンラインショップにて。
オキュパイド・ジャパンという表示になっていました。
1945年から1952年までの製造だということですね。
Mid-Century Japanese Folding Bamboo Bag/Occupied Japan at 1stdibs
日本のアンティークショップでもお取り扱いがあったようで、その時のブログ記事からです。
http://blog.prisma20.com/?month=201303
前回の網のバッグのようなバリエーションというものはなく、どれもほぼ同じに作られているようです。
経年劣化がややあるものの、60年以上前のものとは思えないですね。
そしてですね、前回の竹と網のバッグと違うのは、この続きがあるということなんです。
東京の「swimsuit department」さんと大分のおじろ角物店さんによって復刻され、販売されているのです。
「シェルバッグ」というのですね。
いくつかのお店で取り扱いが今でもあるようです。
Swimsuit Department: Shell Bag - Swimsuit Department Shop Online
50年代の鹿児島や大分などで輸出用に製作されていたバッグの復刻だと書いてあります。
昔のものと見比べると持ち手の形と扇の要の部分の色が違っていて、よりバッグらしいバッグになっているような。
新しい竹の色が素敵です。
こちらはこのバッグに感銘を受けて展覧会を開かれた、io+(イオプラス)さんのページから。
詳しい説明があります。
右は使い勝手を重視したおじろスペシャルとのこと。
そしてまた、別のルート。
竹製品の「竹虎」さんでも復刻を試みられてその名も「ニューヨーカー」として販売されています。
斑な模様のある材を使っていて、ディテールの端々もおじろ角物店さんとは違う個性のバッグになっています。
その経緯、特徴、さらに関連記事のリンクなど詳しく書かれています。
このバッグについて語られるとき、シャルロット・ぺリアンという有名なデザイナーが気に入ってこのバッグを愛用していたというエピソードが必ず入ります。
というか他のエピソードがないのですね。
このバッグ、日本で広まってたくさんの人に愛用されていたのでしょうか。
竹工芸の伝統を踏まえているけどデザインがとても大胆さです。
欧米の人が戦後に日本の竹工芸をアレンジしたものを作らせたのか。
流行はしていなくても、輸出用にたくさん作られる前から似たものがあって知る人ぞ知る存在だったのか。
わからないけれど、歴史の一時期だけ作られたものが保管されて残り、今、少なくない数の人を惹きつけています。
今ならその魅力を受け入れる人は多いけれど、これが国内だけで後々まで育まれていくことはなかったことを考えると、かごというものも歴史の中で生きて翻弄されているのだという思いを強くします。
今回シェルバッグについて調べていたら、吉本由美さんのブログに行き当たりました。
おじろ角物店のことを書かれていて、そこにはこちらのお写真が。
シェルバッグもありますが、手前と奥は”竹と網のバッグ”ですね!
商品化されてはいないのかもしれないですが同様に復刻されていたのですね。
アーカイブ :2013年04月10日 吉本由美のこちら熊本!
〈追記〉
「竹虎」さんのブログに、この形のバッグは小菅小竹堂さんという竹工芸家の方が1954年に十字編手提籠応用ハンドバックとし開発されたと書かれています。
ただ「MIOJ」、「made in occupied japan」という表示は1952年までに限られるので、この作家の方がデザインを完成させる前段階のものが海を渡ったのかもしれないと思いました。全然推測ですが。
60年の時を超えて虎竹バック ニューヨーカー - 竹虎四代目がゆく!
こちらでレプリカを拝見できます。
http://www.i-officek.com/museum/tmoku.htm
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