あけびのかごバッグを探す。⑤福島・会津
かご編みについて調べ始めたごく初期のころ、近所の本屋さんでこの本を買いました。
「つると草の編みカゴの本」(誠文堂新光社)。
かごの編み方の本ではなく、日本各地のかごの作り手の方が紹介されている本です。
この表紙の写真もそうなのですが、福島県の菅家千代子さんという方のあけびかごのページに私はいちばん惹きつけられたのでした。
自宅の一室の工房でかごを編んでいる様子や、できあがったかごがたくさん置いてある様子などの写真が載っています。
職人さんというよりは普通の農家のお母さんという感じの菅家さん。
同じ集落の人が作ったかごに惹かれてかご編みを始めたのは50代後半だったと書いてあります。
ほかにもたくさんのかごが載っていますが、私が編みたいとしたらこんなかごだなと思いました。
木の枝を組み合わせたような素朴さだけれど、カッチリとして形がちゃんとあるところに服飾雑貨というよりは建築に近いような感じがします。
その後このかごは買えるのかネットで調べてみましたら、日本橋馬喰町にある、にほん各地の「暮らしを旅する」お店「amco culture & journey」さんでお取り扱いがあることがわかりました。
本の表紙のバッグよりも黒っぽい感じがしますが菅家さんの肩掛けカゴです。
この「amco culture & journey」さんは「iichi」にも出店されています。
iichiさんは私もお世話になっているハンドメイドクラフトサイト。
実はこの時調べたことで、私はiichiさんの存在を知りました。
そして、このいちばん小さくて可愛い手提げを自分用に購入したのでした。
いつも商品撮影をしている台の上で撮った写真。
この黒っぽい蔓は奥会津の三島町でしか採れない珍しい種類なのだそうです。
確かに「青森編」でたくさんご紹介したバッグのやや赤っぽいあけびの蔓とはかなり違う印象です。
福島の三島町は古くから編み組細工の伝統があって、毎年初夏には編み組細工をはじめとしたたくさんの作り手(工人)さんが参加する「ふるさと会津工人まつり」が開かれているほどですが、町からのご案内を見ても前面に出てくるのがヒロロ、山ブドウ、マタタビとなっていて、あけびの名前を見ることが若干少ないのが残念。
やはり材料が採れなくなったり作り手が少なくなったりしているのでしょうか。
さてこちらは 「世界のかご カゴアミドリ」さんにこの春、福島・猪苗代から入荷したあけびの手提げです。
残念ながら店頭でのお取り扱いのみです。
“どの角度からのぞいてみても、編み目も素材もうつくしい逸品。技術の高さに加え、あけびの採取場所を知り尽くしているのも、この作り手さんの特徴の一つです。”とのこと。
ほんとですね。
日々の暮らしで使う日本の手仕事のものを扱うお店、岡山の「FRANK」さんでも会津のあけび細工のお取り扱いが。
こちらの丸っこいバッグは、カゴアミドリさんの手提げとリング手のリング部分の仕様が同じに見えます。
こちらは材料が違っているように見えます。
ツヤ感や揃い方がカゴアミドリさんのバッグより菅家工房の方に近いと思えるこだし編みです。
上下左右の編み目の間隔や力の入れ方でも編み上がりは変わるのだと思われます。
やや不揃いだからといってかごの可愛らしさが損なわれるわけではないというのが面白いところでもあります。
たくさんの工芸作家の方々の作品を取り扱っておられる、札幌の「Ach so ne」 さん。
お名前の表示はないのですが菅家工房さんに似た作風であるように思います。
さいごに、数年前には「カゴアミドリ」さんでも菅家工房さんのかごのお取り扱いがあったようでそのときのブログ記事がこちらです。
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