あけびのかごバッグを探す。①はじめに。
あけびのかごは日本を代表するかご。
植物の「蔓」を使って編むかごとしては日本産で一番メジャーなものだと思われます。
自然素材のかご全体でいうと日本で一番はもちろん「竹」であって、産業としても大きいですし、古くから公の場を含むいろいろな場面で使用されることも多いですし、デザインや製法が広く共有され、時を経て確立されています。
一方で「蔓」を使って編まれるかごというのは、日本中に自生するいろいろな蔓植物を使って各地でめいめいに作られ、農作業などに使われてきました。「産業」というより農業の傍らに存在し続けてきた生活の道具として、ですね。
あけび細工は、産業としては明治時代以降に盛んになったのだそうです。
専門の職人さんの編んだものが東北や甲信地方の温泉地などで売られたり、都市部の民芸店で取り扱われたり、工房が会社になり、製品が海外へ輸出されていたこともあったそうです。
その後、昭和平成と時代が進むと会社の数は少なくなり、職人さんも減り高齢化する傾向にあったわけですが、今また、伝統工芸品や手作りのものを見直す動きやかごブームなどとともにその価値を認められる機会が増え、人気は高まっています。
材料となるあけびが減っているそうですし、そもそも採集し乾燥させ節を取り除いたりして材料を揃えることにとても手間がかかるということもあり、あけびのかごはどうしても高価ですが、自然のままの蔓の風合をそのまま編んだ表情は魅力的です。
大切に使えば長持ちして使い込むほどに味わいが増すということもあります。
かごバッグであるとか、インテリアにアクセントを与えるかごとしてであれば、今はある程度高価でも商品として成り立っているようです
。昔とは少し形を変えて生き残っているのです。
職人さんとして生計を立てていくことはこれからも難しいのだと思いますが、インターネットの普及やそれによって大きく助けられたハンドメイドブームの広がりなど、数十年前とはものの流れも人の意識も変わってきています。
あけびを取り巻く状況もきっと変化して新しい動きを見せてくれるのではないかと思います。
私自身、かごを編んでみたいと思った時にまず手に取ったのは「藁」だったのですが、それが自分には現実的に発展させられそうもないとわかってからかごについて調べ始めて、初めにすごく憧れたのはあけびでした。
現実的な選択として今は籐を編み、籐を使うからには籐にしかできないものを作っていきたいという気持ちがありますが、やはり最初のうちは特にあけびのバッグを参考にし、意識しました。
一年ほどかごについて調べたり自分でも作ったりしているうちに今のあけびのかごバッグは伝統的な基本のかごの編み方に加えて欧米風の籐細工の編み方を取り入れているのだろうなということもわかってきました。
それぞれ違う生い立ちをもつかご編みが影響しあっていくというのもまた面白いことです。
今、作って売られているあけびのかごバッグはある程度技法とデザインが出揃ってきて、定番的なものができつつあるように見えます。この先自分が編んでみる機会があるかどうかはわかりませんが、これからもきっと意識して見続けていくことは間違いないです。
これから何回かにわけて、あけびのかごバッグについてもう少し詳しく調べて書いてみます。
あけびかごの歴史や現状について参考になる記事はこちら。
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