「ここかしこ」の「雲棚」
「ここかしこ」というのはお店の名前です。
お取扱いの品物がちょっと独特で惹きつけられました。オンラインショップには「縁起物」「神仏具」 「身に着ける」「置物」「文房具」「贈りもの」「メモリアル」などのカテゴリーの品物が並びます。
この雲棚が「ここかしこ」を知るきっかけになりました。
神社やお寺の彫刻を専門とする「井波彫刻」さんというところが製作しています。数か月に一度、100台限定で予約販売をしていて、大変な人気でたちまち完売しているようです。
「雲棚」というのは多分一般名詞ではないと思うのですけど、雲形のモチーフはなんとなく馴染みがあります。雲形の装飾のついた神棚とかありますもんね。
私自身は特定の宗教を持っていないつもりでいますが、ふと気づくと身の回りにある物や自然環境に対してちょっとした信仰心に近いようなものを持っていると思うことがあります。
たぶんそれはすごく普通のことで日本人らしいことなのだと思います。仏教や神道に本当は通じているような。
信徒でなくてもお寺や神社に行ってそのデザインを見るときに古いものとしてではなく素敵なものとして感じられるというのは意識していなくても確かに心と体の中にそういうものがあるからだと思います。
昔からある雲形の装飾のついた神棚などは実はポップで面白いデザインとも言えるのに、古くからあるものとしてニュートラルな眼差しでは見れなくなっている。
面白さを忘れて現状維持しているような部分を、作り手からも使う人からも剥ぎ取って本質を削り出してくれたようなものなんじゃないでしょうか、雲棚は。
だから、意識的には信仰心を持たない人の信仰心にも響くのだと思いました。
「ここかしこ」さんのコンセプトの文章の中に「拠り所」という言葉がありました。以下「ここかしこ」ホームページより。
モノづくりの周辺で仕事をしている者にとって、
関わったモノが人を元気づけ、笑わせ、ほっこりさせ、慰め癒すことができたなら、
それは大きなシアワセです。
「生きてゆく」の中にある、たくさんの喜びも、つらい別れの悲しみも、
時代時代の人の知恵と優しさが積み重なって、繋がってきました。
今の日本を生きる私たちにできる、知恵と優しさを、モノのカタチで表現したい、
それがここかしこのテーマです。
世界から見ると東の端っこの、この小さな島国では昔から、
カミもホトケもご先祖様も、自然も四季も、おおらかに敬い慕うならいがあって、
独特な、魅力たっぷりの「拠りどころ」に溢れています。
これは本当に恵まれたこと。
ここかしこは、
人びとが国や世代を超えボーダーレスに通じあえる幸せへの純な祈りや願いを
クリエイティビティの種として、日本ローカルな魅力を実として、
より明るいハッピーライフを手助けするオリジナル商品を提案するブランドです。
「ここかしこ」さんのシンボルマーク、合掌の絵が印象的です。
あえて手作りでものを作ったり、とくに必要でないのになぜかそういうものが欲しかったり、それもやっぱり心の落ち着きどころを求める作業なのだろうとかご編み人としては思っていました。「拠りどころ」という言葉もひとつ心にとどめていたいと思います。
- 関連記事
-
-
椎名林檎「人生は夢だらけ」。 2017/12/08
-
京町家の宿に泊まりました。 2016/12/12
-
東京大学総合研究博物館小石川分館の「建築博物誌/アーキテクトニカ」。 2016/11/16
-
祝東京オリンピック公式エンブレム、ASAO TOKOLOデザイン 2016/04/27
-
力強い魅力の熊本名産、きじ馬、花手箱、日奈久箸。 2016/04/25
-
日本の幾何学美、富山の「タニハタ」さんの組子欄間。 2016/04/01
-
「ここかしこ」の「雲棚」 2016/03/15
-