木版画家・前川千帆 - Girl with Basket
前川千帆(まえかわせんぱん)さんの木版画に、かごを持っているものが結構あります。
出典:すべてUkiyo-e Search
Girl with Basket (1950s)
りんごですね。
雪が舞っていて寒そうで、頭巾が忍者みたいになっていますが、3色ストライプの着物に鮮やかなイエローのベストみたいなやつ。
まあなんと可愛らしいのでしょうか。
かごは太めの蔓で編まれたバケツ型のバスケットですね。
北国なのでやはりあけびでしょうか。
Persimmon - Girl from the Field
こちらは柿ですね。
かごは竹なのではないでしょうか。
着物と帯とたすきと姉さん被りがそれぞれ違うジオメトリック柄ですよ。
それでもって前掛けがかなり派手な花柄です。
襟元もピンクです。
これだから和服はすごいんですよね。
キュートです。
Girl from the Field - Orange
こちらはみかんらしいので、柿とくらべるとちょっと温かい地方なのでしょうかね。
胸元が開いています。
農作業着の女の子とかごに入ったフルーツ。
黒目がちの瞳に無垢な無表情。
日本的な可愛らしいもの、守っていきたいと思わせるものの究極の姿の一つであったに違いありません。
フルーツが準主役なら、かごはいい味出す脇役になっています。
素敵なかごを編んでいきたいと精進していますが、こんな幸せなかごを編むことはできないと思いますね。
頑張れば頑張るほどね。
ところで、前川千帆さん(1888〜1960)は読売新聞の連載漫画で活躍された京都生まれの版画家の方です。
自分の生まれる前の方でお名前をはっきり認識してはいなかったのですが・・
どう見ても、見たことあるどころか自分の原風景みたいな懐かしさでいっぱいです。
時代を考えると活躍されたのは大正と昭和。
江戸時代の浮世絵と今を繋いでくれるような存在かもしれません。
江戸の浮世絵のビッグネームにくらべて、今の日本でそれほど知られていない気がする、この素晴らしい作品群をまたしても外国のサイトで教えられてしまいました。
日本の木版画を研究されているJohn Resigさんという方の「Ukiyo-e Search」というサイトです。
販売を目的としたサイトではなく、いろいろな情報源から集められた画像のデータベース集です。
その情報源も半分以上は外国だったりします。
「Shin Hanga and Sosaku Hanga Movements1915 to 1940s 」というくくりの27人の作家の中の一人として148枚が紹介されています。
私の感覚では前川さんの木版画は浮世絵ではないと思いますが、外国の方、または若い方だとほぼ同じに感じるのでしょうか。
可愛らしい女性、農村や街の風景など、自分のおばあちゃん達くらいの時代、江戸時代よりは近くてちょっとわかる時代の絵です。
可愛くて、愛があって、胸が締め付けられるような・・・
これをひとは郷愁とでもいうのでしょうか。
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