編組の丸い器を編むために⑤竹の「鉄鉢」
前回の花のような器に比べると一般的で、丸くて少し深さがあるかごというと、定番的なものは竹の「鉄鉢」ではないでしょうか。
鉄鉢とは昔お坊さんが托鉢を受けるために使ったものだそうで、もとは鉄製ですが、竹工芸ではじめて人間国宝になられた生野祥雲齋さんが竹製品にされたと言われているのだそうです。
そんな高尚な名前がついているとは知りませんでした。
どこかで見たことある感、実家にある感、みかんが似合う感をまず感じてしまいますが、改めてじっくり見てみると完成された美しさがあることがわかると思います。
大分県の竹工芸の学校でも基本課題としてあげられています。写真は残念ながら底編みが見えません。調べてみたらこの底編みがすごくいろいろあるんです。
出典:大分県竹工芸・訓練支援センターホームページ
こちらは「蒼天清風舎」さんというお店のもの。底編みが繊細ですね。花しぐれ編み(花六つ目)というそうです。
出典:蒼天清風舎
こちらは2色の六つ目編みですね。竹の専門店で売られています。
出典:竹彩本舗
こちらは竹工芸作家の西本有さんのお店のもの。西本さんはiichiでもお店を持たれている方。底編みは「網代編み」。
プレーンな感じですがそれがまた素敵です。底と、透け感のある立ち上がりのコントラストがすごくきれいです。
出典:かご屋 by 有製咲処
これも網代編みでしょうか。2色で四角形の模様が形作られています。
出典:藤倉商店
こちらも竹工芸作家の児玉美重さんという方の作品。これだと全体的に軽い感じが出ますね。
しっかりと伝統を踏まえた形でありながら現代的な感じがします。
出典:カゴアミドリ通信
国内外の質の高い実用品を取り扱うショップにも。
こちらではSとМのサイズのものがキチンと入れ子になることを示して売られています。竹製品の正確性を感じさせてとても素敵です。
出典:gadget+
ここに取り上げただけでも7種類です。竹工芸の厚みを感じます。
私が何か作るために参考にするには存在が遠すぎレベルが高すぎです。
だけどこういうものが日本にはあたりまえにあるのです。
7枚の写真、お店の雰囲気、仕事の形態、などもいろいろです。
実際のこれらの品物がどう違うのかはわかりませんが、写真の雰囲気が違うことはわかります。
昔からあるものとして撮られた写真と、美しいものだと思って撮られた写真というと言いすぎかもしれないけれど、そんなことを写真から考えさせられてしまうくらい、竹工芸は伝統があり、一方で伝統がただの古いものになっていくことを憂いて新しくしていこうという動きも確かなものになっているのだと思いました。
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