籐材料について②

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籐(自分以外の)・柳
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昨日に続き「籐」材料についてです。素材の特徴、歴史などを書いてみます。 

◯「籐」は竹冠の漢字です。よく似ていますが「藤」は草冠。

◯英名はrattan(ラタン)。マレー語由来だそうです。

◯日本では採れません。100%輸入材です。アジア、アフリカ、オーストラリア等の熱帯のジャングルに広く分布していますが、籐の材料として目にするのはインドネシア製が多いですね。

◯ヤシ科、トゲを持つつる植物です。太さは約2ミリから6センチ以上、長さは200メートルにも及ぶものがあるそうです。成長がすごく早いらしいです。

◯「植物中最長にして最強の繊維」とともに「無数の導管」がある構造を持ちます。それにより、軽くてしなやかで丈夫、調湿機能を持つ、という籐の強みが生まれています。

◯伐採後は原地で硫黄燻蒸して複数年寝かせて油抜きと虫の駆除がされるそうです。(日本にはもともと籐が自生しないので籐を食う虫はいないそうです。)

◯過酸化水素水によって漂白されます。その度合いにより、本晒、半晒(中晒)、未晒があります。私はなるべく漂白の度合いが低いものを買って使っています。 

◯籐製品はかなり長い歴史を持ちます。エジプト文明ですでに籐のスツールがあったそうですし、フランスではルイ13世14世、イギリスではチャールズ2世の豪華な椅子に使われました。籐の原産地を植民地にしたヨーロッパで家具の生産が発達したのですね。

 

1685年頃の椅子

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出典:世界的家具考察ANNEX

 

● 日本には遣唐使が初めて伝えたそうです。正倉院に保管されている篭も有名です。

● その後は主に武具の弓、刀剣の柄巻、鎧のかがり、日常品としては煙管の筒や煙草差し、籐枕や籐むしろ、偉い人の籠、建築材料などにも使われました。江戸時代には下級武士の手内職だったので、籐職人の位は他の職人から比べ高かったそうです。

● 明治時代に文明開化によって籐家具製造の文化が入ってきます。

● 昭和になると生活用品を中心に普及し、高度成長期にはゆりかご・脱衣かご・買い物かごや車のバックレストなどが需要を伸ばし、その後はラタンブームも起こり、カルチャー教室でも盛んに教えられたようですが、安価な輸入製品が普及するようになって国内の籐工芸産業は衰退し始めて今に至るのですね。

 

というような、長い歴史を持つ「籐」です。

今日の記事は今までに得た知識だけで終わりましたので、明日は自分の思っていることを書こうと思います。

 

 

 

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