ウォーターヒヤシンスのかご、製品化の背景には環境問題がありました。
ウォーターヒヤシンスのかごはここ数年本当によく見かけるようになりました。
ふっくらとした草による大きめの編み目の夏らしいかごバッグもたくさん見ましたが、収納用のかごやリゾート風の家具にも使われているので、お店のディスプレイや飲食店のインテリアとして見かけることもあります。
この「ウォーターヒヤシンス」、なんとなく東南アジアの方のものかなあと思っていましたが歴史や民俗的な雰囲気は感じられたことがありません。この材料の性質、現状にその理由がありました。
水面に浮かんで生育する水草、ウォーターヒヤシンスは南米原産ですが、今では北米、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの広い地域に移入分布しているそうです。
日本には明治時代に観賞用として持ち込まれ、今では本州中部以南のあちこちで野生化。正式な日本名は「ホテイアオイ」、茎が膨らんで浮き袋の役目になっている姿が布袋さんのお腹みたいだと名付けられたのだそうです。
見れば青紫色のなかなかかわいい花ですが、ものすごい繁殖力で水上輸送や漁業に悪影響を及し、問題視されているというのです。
そこでホテイアオイを繊維素材として利用開発する動きが出てきて、乾燥させた繊維をかご状に編み、ヒヤシンスバスケットという商品名で流通させて今に至るわけですね。
伝統的な編み方とか特徴があるわけではなく、最近になってかご市場に現れた新しい素材として素材に見合った使い方が採用されているのようです。
新しい産業として、アジアの女性たちに仕事をもたらしているということもあるようです。
楽天CORIGGE MARKETさんにはたくさんのウォーターヒヤシンスの家具があります。この写真を見ると藁のように縄状の紐にしてから面にしていく様子がわかります
出典:CORIGGE MARKET
あくまでもウォーターヒヤシンスは柔らかい草なので、家具には構造体ではなく表面の素材としてつかわれます。
それゆえにむしろ、籐などより多様な家具になっていますね。
昔から植物を暮らしを取り入れてきた日本の家にもよく馴染むしモダンな無機的なインテリアにも有機的な優しさを取り入れられる。
CORIGGE MARKETさんのページづくりはオリジナルで可愛いインテリア写真満載でアイディアにあふれています。
出典:menui
かごバッグではこんな形、 放射状の編み目にリング型の持ち手、という感じがお馴染みです。
この形、籐やあけびで採用される場合もありますが、固い材では増し目、減らし目を多用する難しさがあります。
それがこのウォーターヒヤシンスだと柔らかくふっくらした素材だとやりやすそう。
こんなのもありました。これ私とても好きです。
出典:menui
ウォーターヒヤシンスでこんな透かし編みできるのかなあと思いましたら、「素材 籐」と書いてあります。
籐の透かし編みで作ったフレームにウォーターヒヤシンスを巻いてあるのでしょうか。
このタイプで収納用の四角いものもあるようで、街で気をつけて見ていたらお店ですでに使われていました。
ウォーターヒヤシンスのかごはどれも、とてもお求めやすい価格なので最近一気に広がった感じさえします。
昔から日本にある藁やイグサなどに比べると、同じ「草」でも平坦でささくれや途切れが少なくて一般化しやすい気もします。
生態系的な面ばかりでなく製品化されてまで、日本の草のかごという小さなマーケットはすでにその強い生命力で席巻されているのですね・・・
それから、ちょっと気になる点としては、歴史の浅さゆえ経年変化を誰もそれほど経験していないので、「持ち」はどうなのかな、と思います。それもこれからですね。
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