籐工芸 独学の教科書 ②
図書館で籐工芸の本を借りました。
「ラタンクラフト基礎編」(谷川榮子著/講談社)です。
最初に買った「籐工芸」以来、教科書的なものを買っていなかったので、もうちょっといろいろ見てみたいと思うのですが、本を買う前にできるだけ中身を見てみたいので図書館は便利です。
新刊の本屋さんには籐工芸の本はまずありませんので。
籐―ラタンクラフト (基礎編)
前回取り上げた本が昭和51年、今回の本は昭和58年の出版です。
カラー写真の雰囲気、印刷技術を見ると少し時代が今に近づいたことがわかります。
しかし作品に関しては、よく見るとそれほど変わっていません。
特にこの「基本の作品」群は不変のラインナップらしい。
前の本でも見かけたベーシックなかご類を、籐工芸のお稽古事の基礎とする流れが広まって定着してきたのでしょうかね。
それから約40年後の今年、カルチャーセンターでの籐工芸教室でほぼ同じものをいくつか習っています。
しかし中でも変化を感じるページがありました。
バッグのページです。
まだ「かごバッグ」という言葉は見当たりませんが、カラーページにたくさんのバッグが載っています。
この本に、「買い物かご」というものはありませんでした。
これらは普段の食料の買い出し用ではなく、お出かけ用とでもいいますか、模様や色、異素材などで工夫されたバッグたちです。
ページの上半分は「皮籐」という、籐材の皮の部分を平たく切り取ったものを使ってあります。今も籐の高級なバッグによく使われる、高価なものです。平たい材なので竹工芸と同様の技術を使って編み上げることができるようです。
ここにでている皮籐のバッグも、どれも竹工芸の編み方、網代編みなどを使っているようです。左上のかごなどは竹の市場かごの雰囲気を踏襲しているように見えます。
単純に丸芯だけを使ったものは、下半分の3点です。麻ひもの持ち手を付けてカラーラタンで縁取りされたもの、ビニールストローで縞模様をいれたもの、透かし編みの無塗装のもの、いずれも昭和58年当時のお洒落の雰囲気が伝わってきます。
ハマトラのお姉さんだったら、持ったかも知れない、ような気が。(私は当時高校生でした。)
ひるがえって、昭和51年です。
お洒落用のバッグはありません。
買い物かごが大人用と子供用、あとはピクニック用のバスケットが出ています。
このあっさりした雰囲気がとても好きですね。
昭和51年、私が小学生のころ、うちにはなかったと思いますが、当時のお母さんたちはまだ籐の買い物かごを使っていたのでしょうか。
「夕方のお買い物に、また車でのお出かけにといつでもお供をするかご。目的に合わせて、いろいろの大きさに作ってみてください。」とあります。
たった7年の差ですが、女の人の暮らしがずいぶん変わっていった7年なのだと思いました。
その割に籐工芸そのものはあまり変わっていない。
お稽古事としての籐がその後あまり流行らなくなっていった理由が、その辺にあるのかも知れないと思いました。
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