なで肩Bまでのいろいろ。

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製作・商い 2018
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先日新しく出したなで肩の手提げBです。

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年初の計画では考えてなかったのに、なぜ生まれたかというとそこにはいろいろ迷いがあったという話。

 

これは去年ご好評をいただいたこの「六角の手提げ」です。今は出品を中止しています。

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この手提げの魅力のひとつに、長めのぐるぐる巻きの持ち手があるのですが、持ち手が弱くて折れてしまうということが数件起こってしまっていました。

ご迷惑をおかけしてしまった方には斜めに巻く方法で付け替えをさせて頂きました。

力の伝わり方を考えると根元の巻が少しあいていて持ち手が中途半端に動いてしまうことがよくないわけで、ぐるぐる巻きでも根元をぎりぎりまで巻いて、さらに二重にするとかやり方はあるかな、というところまでは今、考え至っているのですが、もう少し検討がいるかなというところ。

もともとこの長さでのぐるぐる巻きは、それだけ長くて柔らかい材を選ぶのもわりと綱渡りだったこともあったのでそれも迷いの原因になりました。

 

と、いうところで思い出したのがこの「小さめの手提げ」。

六角の手提げより前に作っていて、六角の手提げの元になったものでした。

六角ほど長くなくて重さもかからないこの手提げなら、ぐるぐる巻きの持ち手が復活させられるなということで。

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この写真は当時のもの。

これ、写真はとてもいいんですけど実物はやっぱりまだ下手なんですよ。

とはいうものの、よくこんなの作ったなというのが今の正直な思いです。

ザクザクと作った型でザクザク編んで、当時のひらめきがちゃんと形になっています。

ところがですね、だんだんこれができなくなりまして。

いくつもいくつも毎日編んでいるうちに、型と本体の合わせ方が厳密になっていって、不思議とこんな感じにはならないことも多くなっていきました。型の微調整もしてみるのですが、この微妙な出入りをなかなか再現できず。

小さいので何度も編み直しをしたりして出荷していたのですけど結局ひと夏だけで出品を中止しました。

たくさんたくさん編んでうまくなっているはずなのに作れなくなる。ということがあるんですね。

型を使って編んでいるからこそ底作りはミリ単位だし、立ち上がりからてっぺんまでの沿わせ方も形ごと模様ごとの微妙な調子の出し方があって自分のルールがだんだん積み重なってきます。

ただ普通の「四角」を作るのもたくさんの工夫がいる。ということを、4年め、痛感しています。

きれいに作る、ちゃんと作る、ということは少しずつできてきている代わりに、1年め、2年目の私がひらめきだけで作れていた「味のある」形はもう作れないんですね・・・

 

というわけで今年の連休はこの「小さめの手提げ」の型を今の考えで作りなおしていました。

それがなかなか、完成しませんでした。この微妙な出入りは、やっぱり簡単じゃないです。

完成するまでやるんじゃないのか!という気持ちもあるんですが、これはいちおう断念ではなく持ち越し。

今の自分が今作りたいものをと考えると、ちょっと違うのかもしれないと思ったからでもあります。

 

では今できる、今作りたいものでぐるぐる巻き持ち手の小さい手提げとはどんなのか、と考えた時にすっと出たのが今回の形。今のラインナップに自然にはいるものにもなりました。

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柄は、「小さめの手提げ」からの流れであり、「山の手提げ」のこどもみたいな姿でもあるのでまずは太縞。(右。)

小さいくせに縞の段数も、縞を仕切る3段の縄編みも大きな「山の手提げ」と同じ太さ。ぎゅっと詰め込んだみたいな可愛さになりました。

そしてもう一柄は透かし編みを使ったものにしたくて、今までやって来なかった新しいタイプの柄を考えました。(左。)

 

透かし編みの代表、あけびかごなどでよく見かける「こだし編み」は、細い籐で同じようにするとなんともスケスケになってしまうので、これまでも他の編み方と混ぜたりして部分的に使ってきました。

でもこの小ささだとあまり繊細な変化はチャカチャカしてしまうし、でもこだし編みだけでは頼りないし、というわけで前面はこだし編み、サイドは透かさず素編みにするということをしてみました。

実はこの編み方、1年目の、「細面の手提げ」を作った時に候補として考えた編み方です。細部の処理とか全体のデザインがうまくいかなくて断念したのですけどいつかやりたいと試作品だけはずっととっておいたもの。

小さいものなので、思い切ってやってみようという遊び心もうまれて、3年越しでこれができたのはうれしかった。

太縞の方との共通感も出るように、真ん中に1本、帯のようにラインも入れました。

 

今年のバスケタルは、若干縦長シルエットが増えつつあったので、あえてちょっと横長です。

けっこう小さいですが、小さいバッグでお出かけしたいという時によいのではないかと思うのです。

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