2017夏の手提げに至るまで。①
夏らしくない夏も終わりが見えてきた今日この頃。
今年の夏の新手提げを発売しはじめたのはもうだいぶ前のことになってしまいました。
それと同時ぐらいにほんとは書くべきだった記事…この夏のデザインにいたるまでの紆余曲折のまとめ…がものすごく遅れてしまいましたが、これをやっとかないと次へ続けられませんのでやります。
前回(いつだ。)までのあらすじ。
私のかご屋バスケタルは3度目の夏を迎えております。
1年めの夏にやっとこさ出したこの①「四角い手提げ」を振り出しに、
秋には下に向かって細くなった②「細面の手提げ」。
2年めの春に上に向かって細くなる③「山の手提げ」を、
夏には上も下もすぼまっている④「小さめの手提げ」を出しました。
そして秋には小さめの手提げを横幅だけ広げた⑤「栗の手提げ」と、
四角い手提げの上下をすこしだけ絞った⑥「四角い手提げ2」。
という感じで商品にしてきました。(塗装の話は置いといて、形だけの話。)
こうしてできあがりの写真だけを並べてみると筋道がはっきりと見えるので、まるで論理的にやってきたみたいですが実際は全然そんなことはなく、手当たり次第にいろいろやってなんとか下手な自分でも商品化できそうに思えるものがその時々でやっと一つだけできたというものです。
それらは結果的にどれも単純な形で、そんな作業をシーズンごとに積み重ねていったら単純な形の変化の筋道がはっきり見えることになっていました。
①の四角は特に、この時の自分の力量ではほんとうにこれしかできず、ほかにはなんにも思いつかなかったもの。でも全く無個性なものだと思っていたこの形が2年後のいま振り返ると意外とそうでもなくてその後の自分の考えのベースになりました。自分の個性のベースにも、なりました。
籐かごを手作りする場合、型を使うことは多くないので、(特に今は。昭和の買い物かごは、型で編まれるもの多かったと思われる。)定規でひいた図形にむりやり納めるような自分の作る形は、それほど目立つわけではないけど特徴と言えるものになっていました。
上手な人が型を使わず編む、自然な丸みのある優しい形をうまくつくることもできなかったし、できるようになったとしても個性的なものはできなさそうだっただけなんですけどね。
②と③はその先のすごく自然な流れ。ほんの少しだけ、補助線を一本ひくみたいな感じで辺を斜めにするだけで、それぞれに違う個性が出ました。
さらに④からはもう少し複雑なことをしようとしています。何を目指していたかと言えばそれは「型を使わずに編む自然な丸みのある優しい形」であったと今見ると思います。今見るとというのがポイントで、この時点で自分が何をどう目指しているのかはっきりわかってはいません。あと、伸ばすべき個性みたいなものも。だから、それなりに形にしてはいるけれど何かもう少し突き詰めたいという思いを持ちつつでした。つまりはまだ試行錯誤の途中段階。
なので今年の新春から初夏にかけての時期は、この煮え切らない④⑤⑥を再考する時期になりました。
グダグダずっとやっていましたがそのグダグダにも一応の結論が出たんじゃないかと思います。それもまた、できあがった後になって結論出てたな、こういうことか、とわかった感じ。
結論を言ってしまうと「優しい丸み」を目指すのはやめようということですね。ほかの上手な方々にお任せしようと。自分は多少なりともギクシャクしてていいんじゃないか、と。
その着地点が⑦舟の手提げと⑧六角の手提げです。
⑦これは新しい形ではなくて、②に戻っているんですね。
⑧これは④⑤⑥まとめて単純化してしまってるんですね。
ということが大まかな流れで、たどり着いたこの⑦と⑧がこの夏の主力となりました。
さて前置きに続いて詳細…と思ったけど長くなってしまったのでまた次です。
まだ私の人生にも一応、先があるとは思うけど、とはいえ限られた時間と小さな生産性の中で、やれることを拡げていくというよりはやることを絞っていくために、いろいろやってみてたくさん捨てていくことに時間がかかっています。
こういう時間をとるために、あんまり売れない時期があるというのも悪いことじゃないなと思います。
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