マリリン・モンロー・「イン」・バスケット。

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昨年が生誕90年だったとかで、催し物などがあったりCМでも見かけたり、なにかとまだまだ大きな存在感を持っているマリリン・モンローです。

こんな写真がありました。小さくて蓋付のバスケットをお持ちです。

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1953年、映画「紳士は金髪がお好き」の公開時に ハリウッドのチャイニーズシアター前で手形とサインを刻印するイベントのようです。

すでにトップスターになっている27歳くらいの頃。体型にフィットさせた白いサマードレスにバスケットがお似合いです。大きくセットした髪型などもマリリン・モンローらしいスタイル。

隣の女優さんもダブル主演的な扱いだと思いますがなぜかモンローにだけ光が集まってしまうような感じです。

 

こちらはプライベート写真。とはいえこの時代のことなので「スタアの私生活」的なグラビアかもしれません。ピンヒールですし。

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3番目の旦那様の劇作家アーサー・ミラーとの新婚時代。ドライブピクニックへお出かけの際のお写真でしょうか。

カラー写真でなくて残念ですけど短めのパンツに袖を通さないカーディガン、スカーフの巻き方もサングラスもいかにも50年代調、いかにも映画スターという感じでうれしくなります。

バスケットは一見バーキンバスケットかなと思いましたがよく見ると楕円で蓋付のピクニックバスケットかな。

 

ジェーン・バーキンよりは20年くらい時代が前で、時代的にもキャラクター的にもバーキンのように私生活のスナップがたくさん残っているわけではないですが、それでも今だとモンロー関連の写真をマニアックに網羅しているサイトなどもあって丹念にみていくといろんな発見があります。

 

(こちら↓)

CursumPerficio

 

グラビア出身のモンローですからスターになる以前の写真もたくさん残っています。

1945年春、なんとまだ戦時中ですが19歳のまだ垢抜けないモンローです。映画デビュー前ということなのでノーマ・ジーンとご紹介したほうがよいのかも。

素朴で健康的な女の子の定番の構図、「ガール・ウィズ・バスケット」をやらされています。

収穫してるのがフルーツでなくてお野菜ですが、とにかく可愛い子が「もぎたての」何かを詰め込んだバスケットをもたされてニッコリ、というのが「ガール・ウィズ・バスケットの構図」です。

古今東西、人はそのような構図を可愛いらしいものとして絵や写真にしてきたようなのです。

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Emile Munier (1840-1895)


花や果物を一杯に入れたバスケットを、屈強な男性が持たされるということはやっぱりありません。バスケットを持つのはもぎたてフルーツのような女の子。 

例外としてカラバッジオの「果物籠をもつ少年」がありましたけど、こちらの作者にとってはきっとこの少年がそんな感じだったのでしょう。

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Boy with a Basket of Fruit - Wikipedia
 

少し後でしょうか、 Earl Moranという方が撮影した写真です。

さすがマリリン・モンロー、私が勝手に言ってるガール・ウィズ・バスケットの構図、その本質を比喩的でなく直接的に、力いっぱい表現してくれているような写真です。

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(「ベイビー・イン・バスケットの構図」というのもあるのでこちらの方にかけてあるのかもしれませんけど・・。)

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・・・にしても、このベタ構図、やらされているにしてもこの笑顔、求められた以上に応えてあまりある、はじけるような魅力です。

このひとは生まれながらの女優、撮られるために生まれてきたような人なのでしょうね。

 

そしてこちらは8年ほど後、Nickolas Murayという方が撮った26歳頃のマリリン・モンロー。最初のサマードレスの写真の少し前です。

まだこういう写真が撮られているのに驚き、この貫禄でまだ26歳というのもちょっと驚きます。ツヤツヤしたりんごがいかにたくさん盛られていてもなんかモッサリとして、魅力は引き出せていないですよね。モンロー自身も乗ってません。

この構図、このポーズにはまるのはやはり若くて素朴で無名の女の子なのでしょうね。まだ何色にも染まっていないような、若いだけ、素材の新鮮さだけが輝いているような。

普通の大人がかごに一杯フルーツを採っていても豊作ですね、としかならないですし。それはただの普通の農業というか、生活です。(幸せなことではありますが・・・。)

ご存じのように 、素材の新鮮さはあっという間に失われます。加齢にもよるけれどモンローのように地位や名声を得ることによっても失われる。「自然」と同じでコントロールはできないんですね。

  

すでに世界中の人が知る存在になった彼女。超ゴージャスなスタイルを誇張され、色眼鏡でみられることも多かったわけですが、

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少し愚かしくも(多分演技。)可愛らしい。

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昇りつめた人ゆえの不安定な精神状態とか、30歳そこそこでずいぶん疲れた風貌になってしまったこととかも、愛すべき陰影です。 

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何かが過剰で、もしくは欠けていて、異常なまでに魅力を放ってしまって自分をコントロールすることは無縁だったのだろうと思います。

無防備で不器用で。

 

もとは日向の似合う無名の少女でした。

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CursumPerficio

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